進化する糖尿病治療法

肉をたくさん食べる男性は死亡リスク上昇 9万人調査で判明

肉をたくさん食べる男性は死亡リスクが高い

 フレイルとは「加齢に伴い体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態」であり、サルコペニアは「筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態」。フレイルとサルコペニアの予防は、すなわち寝たきり予防になり、健康寿命を延ばすことにつながります。

 ご存じの通り、肉類などの動物性食品は良質なタンパク質源です。「肉をたくさん食べている人は健康で長生き」という言葉を聞いたことがありませんか? 健康だから肉をたくさん食べられるのか、肉をたくさん食べられるから健康でいられるのか、どちらが正解かははっきりしないものの、タンパク質を十分に摂取し、何歳になってもアクティブに活動できている人は、健康で長生きしているという印象を私も持っています。

 一方で、肉は飽和脂肪酸やコレステロールの含有量が多く、食べ過ぎると血液中の悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。だからこそ「肉も魚も偏りなく食べてほしい」のです。どれかが過剰になるのではなく、ほどほどに。魚にはEPA・DHAといった血液サラサラ効果や中性脂肪低下作用、脳神経再生作用などのある成分が豊富で肉からは取れません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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