コロナ第4波に備える最新知識

ワクチンで重症化する人は抗体に特殊な糖鎖がついていない?

ワクチン接種をする医療従事者(C)ロイター

 ワクチンを打つ主な目的は3つある。感染症に①自分がかからないため②かかっても症状が軽く済むため③周りの人にうつさないためだ。ワクチンを打つことで、あらかじめ細菌やウイルスに対する免疫反応を人工的に起こして抗体を作りだす。そのことで、この3つの目的を達成する。

 ところが、ワクチンで抗体を作りだしさえすれば細菌やウイルスが撃退できるわけではない。実際、ワクチンで抗コロナウイルス抗体が大量に誘導されても、重症化する人もいれば、抗体が少なくても回復する人もいる。動物のコロナウイルスでは、ウイルスに対する抗体によって重症化することを「抗体依存性感染増強」(ADE)と言い、動物ウイルス学者の間では常識だ。SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)の研究でもADEが報告されている。抗体には良い抗体(中和抗体)だけでなく、悪い抗体も存在するのだ。

 ADEはウイルスが抗体を介して細胞に感染する現象を指すのだが、通常は細胞に存在する抗体受容体がADEを仲介すると考えられてきた。

1 / 3 ページ

関連記事