コロナ第4波に備える最新知識

ワクチンで重症化する人は抗体に特殊な糖鎖がついていない?

ワクチン接種をする医療従事者(C)ロイター

 2020年12月18日付の「bioRxiv」に掲載された大阪大学の研究グループの報告では、新しいADEメカニズムが提唱されている。同グループは新型コロナに感染するとできる抗体を人工的に約70種類作成。これらの抗体を加えて、新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入する際に使う「スパイク」と呼ばれる突起と、細胞の表面タンパク質の結合の強さが変わるかどうかを実験した。結果、スパイクと表面タンパク質の結合を強め、新型コロナウイルスの感染力を高める抗体の存在を明らかにした。つまり、抗体によってはスパイクの構造が変わって結合を強め、感染しやすくなる可能性があるというのだ。

■「サイエンス誌」に注目の論文

 さらに興味深い報告がある。世界的権威のある「サイエンス誌」に2021年2月26日付で掲載された論文だ。オランダの研究所が投稿したもので、タイトルは「Afucosylated IgG characterizes enveloped viral responses & correlates with COVID-19 severity」。新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に対する抗体の「フコシル化」の程度と重症度との相関を調べたもので、重症化している人ではフコシル化されていない抗体の比率が高まっていることを示した。

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