抗体はタンパク質でできているが、実はその抗体に「糖鎖」というものがついている。タンパク質の機能は糖鎖の有無、種類によって異なることが知られている。抗体でもそれがあるというのだ。
フコシル化とは、糖鎖修飾のひとつ。免疫機能や肺機能に重要であるのに加え、肺がん、肝がん、膵臓がんなど多くのがんで発現が上昇することがわかっている。
新型コロナの場合、スパイクタンパク質に対してフコシル化がついていない抗体は急性呼吸窮迫症を発症した重症例で多く、軽症で止まった患者では最初からフコシル化の程度が高いという。さらに、フコシル化抗体と、重症化の指標であるIL-6とCRPレベルを調べると、フコシル化の程度と炎症の指標が逆相関していたという。
つまり、新型コロナの抗体は新型コロナウイルスに感染した細胞を殺すのに役に立っているのだが、ある閾値を超えると最初から強い炎症が誘導され、重症化するのではないか、という仮説が成立するという。
むろん、これは仮説だが、ワクチンを打って抗体さえできればいい、というわけではないことの一例ではないか。
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