片頭痛に新薬が登場 原因物質を直接攻撃して痛みを抑える

片頭痛の推定患者数は840万人ともいわれている(C)日刊ゲンダイ

「脳の硬膜及び脳血管周囲の三叉神経に、光、音、気圧の変化など何らかの刺激が加わると、三叉神経の末端からCGRPという物質が放出されます。CGRPは神経ペプチドの一種で、CGRPの放出によって血管が拡張し片頭痛を引き起こします。さらにCGRPは、三叉神経周囲に『神経原性炎症』を起こし、それが疼痛シグナルとなり、大脳皮質で『痛み』として知覚されます」

 片頭痛発作時と非発作時の血中と唾液中のCGRPレベルを調べた研究では、発作時には明らかにCGRPレベルが高く、非発作時には少ないという結果が出ている。

 新薬「エムガルティ」は、片頭痛を引き起こすCGRPに作用する働きを持つ。

「エムガルティは医薬品の中で脚光を浴びているモノクローナル抗体で、病気の標的だけを攻撃します。この新薬を投与することで、片頭痛の標的物質CGRPが三叉神経から放出された直後にブロックされるのです」(冒頭の坂井文彦医師)

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