独白 愉快な“病人”たち

目に針先が迫ってきて…播戸竜二さん翼状片の手術を振り返る

播戸竜二さん(提供写真)

 上を向いていると瞼が閉じないように目の上下をテープで引っ張られ、さらに目を見開いたまま固定される機械がセットされて、これ以上ないほど目が無防備な状態になりました。それだけでも怖いのですが、そのあと点眼薬がかかり、「では始めます。麻酔します」との言葉とともに注射器が……。点眼薬で視界はぼやけているものの、自分の目に注射器の針先がどんどん迫ってきて、刺さるのが分かりました。痛みはないのですが怖かった。

 何度か針を刺して麻酔が終わると、次は「目を下に向けてください」と言われ、鼻の先を見るようにしていました。要は眼球の上の方から正常な膜を採取したのです。そのあと病変を切り取り、正常な膜を張り付けて縫いました。

 コンマ何ミリという世界を拡大する手術用のゴツイ眼鏡を掛けた先生が縫うこと5針。痛くはないですが、針が入る瞬間や糸で引っ張られる感覚はあって、先生の手が行ったり来たりするのをまばたきもできずに見ていました。経験したことのない緊張が続いたので、終わったときには精神的にかなり疲弊しました。

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