ビートルズの食生活から学ぶ健康

ジョンの「プチ・ベジタリアン生活」と大腸がんリスクの関係

1977年、日本滞在時のジョン・レノン(右)とオノ・ヨーコ夫妻(C)共同通信社

 昨2020年はジョン・レノンの生誕80年でしたが、もし彼が凶弾に倒れることなく、玄米菜食中心の食生活を送っていたらどうであったかと考えずにはいられません。大腸の専門医の立場から言わせてもらえば、少なくとも大腸の不調に悩むことはなかったと推測します。

 ちなみに、日本ではがん死のうち、大腸がんが女性では1位、男性が3位となっています。

 2011年に世界がん研究基金と米国がん研究協会の共同研究の中の「大腸がんのリスクとライフスタイル」では、赤身肉(牛、豚)および加工肉が大腸がんのリスク要因と指摘されています。その理由として、赤身肉には、脂質、特にコレステロールを上昇させる飽和脂肪酸が多く含まれているため、多量摂取は肥満につながり、大腸がんのリスクを高めるということが挙げられています。

 また、赤身肉に含まれる鉄分と脂質が活性酸素を産生し、その結果、細胞や組織の酸化、損傷を招き、大腸がんなどを引き起こすことになるのです。このコラムではすでに紹介していますが、米国がん研究協会では1日の赤身摂取量は80グラム以内としています。

 ジョンの玄米菜食中心の「プチ・ベジタリアン食」は、少なくとも大腸がんリスクは極めて低いものだったと言えそうです。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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