新型コロナ後遺症「精神症状」を軽く考えてはいけない

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「新型コロナウイルス感染症の後遺症は主に3つに大別されます。炎症によって肺や嗅覚・味覚が障害されるケース、感染で生じた血管炎が要因でさまざまな症状が表れるケース、そして、メンタル不調を来すケースです。新型コロナ感染症から回復後、外来で『まったくやる気が起きない』『また感染してしまうのではないかと怖くて仕方がない』『不安で眠れない』『何も食べたくない』といった精神的な不調を訴えるケースを経験しています」

■世界各国で報告

 コロナ後遺症として精神症状が多く見られることは、これまでも世界各国で報告されている。英オックスフォード大学などのチームが医学誌「ランセット」に発表した大規模研究調査によると、新型コロナウイルス感染症に罹患した人は、不安障害、うつ病、不眠症といった精神疾患の発症リスクを高めることが確認された。

 およそ6万2000人のコロナ感染者を含む米国人6900万人の健康記録を調査したところ、感染後に不安症、うつ病、不眠症だと初めて診断される人が17人に1人の割合に上ったという。オックスフォード大のポール・ハリソン教授は、「新型コロナウイルス感染症を生き延びた人はメンタルヘルス問題を抱えやすいという懸念を裏づける結果になった」と説明している。

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