50代独身男性と80代老親のコロナ闘病記

<4>母も陽性で入院…ショックよりも自宅に残さず安心と感じた

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 55歳の糖尿病持ちの私は85歳の母と2人暮らし。1日遅れで感染が発覚し入院する母を心配しつつ、入院初日がスタートした。
 
 入院当日朝7時(自宅)。体温は36.4℃。コロナ陽性でも、朝は熱が下がるのだろうか?
 
 8時45分。母がPCR検査のため病院へ向かうのを見送った。寒い朝だった。発熱外来は屋外テントに設置されている。検査に備え、温かい服装をさせた。

 9時30分。保健所の車が私を迎えに来る。ドアを触らないように慎重に乗り込む。
 
 10時。病院に到着。車内から、発熱外来のテントで検査を待つ母の姿が見えた。
 
 10時15分。防護衣の看護師さん2名が迎えに来る。他の患者さんとの非接触の導線を確保するため、交通整理にも時間がかかる。ここにもコロナによる医療現場の負荷を垣間見る。コロナ隔離病棟に入室。部屋からは一歩も出られない完全隔離だ。
 
 昼12時。医師から「母も陽性」との連絡がある。病院感染対策室と病棟で、入院に向け調整中。陽性と聞いてショックというよりも、むしろ安心した。もしも陰性だったら入院はできない。もしも自宅で急変したら、私は入院中でサポートができない。急に重症化した場合、後手に回り大変なことになる。陽性は最善の結果に思えた。

■抗ウイルス薬「レムデシビル」の同意書にサイン

 12時15分。医師から病室に連絡が入る。薬は咳と喉の薬のみ。肺の画像から中等症との診断。抗ウイルス薬「レムデシビル」の使用に同意した。レムデシビル投与とは、重症化リスクありなのか? 自分の症状と薬の値段が気になった。説明によると25万円は公費負担とのこと。ありがたいと思ったが、コロナによる医療機関の負荷に加え、医療費増の片棒を担いでいるのだと認識した。

 12時30分。PCR検査を終え、自宅に戻った母に携帯メールで連絡。陽性が判明したので、明日入院の準備をするよう伝える。

 16時。37.3℃。息苦しい。咳き込む。頭がボーっとしている。入院2週間分の、大量に持ち込んだ本を読む気にもならない。医師から「ここ数日が踏ん張りどころ。症状には波がある。夜に熱が出ることが多い。症状が強い場合はステロイド薬を使用する」と激励。

 16時10分。37.6℃。急に熱が上昇している感覚あり。かなり不安になって医師に連絡すると、「水分摂取を多めに」との指示。

 16時15分。保健所から連絡が入り、母の病院入院が確定。良かった。明日9時30分に保健所が赤い車でピックアップに来ると母にメールで伝える。母はの体温37.0℃とのこと。

 17時。38.0℃。息苦しさと咳は続く。つらい。1日遅れで私の症状を追いかけている母は、このつらさに耐えられるのだろうか? 母の肺の画像は軽症とのこと。レムデシビルの適用ではない。不安が芽生えた。治療のタイムラグによる影響はないのか? 中等症の私よりも、軽症の母のほうが危ないのではないか。(つづく)

関連記事