進化する糖尿病治療法

食事は「一汁三菜の時は少なくとも2品はノンオイル」で

食の意識改革を

 糖尿病というと「食事制限が大変な病気」という印象を持っている方が多いかもしれません。糖尿病と診断された患者さんの中には「好きなものが食べられなくなる」と肩を落とす方もいます。

 しかし実際のところ、糖尿病だからといって「食べてはいけない食品」はありません。もちろん糖尿病が進行し、合併症のひとつ「糖尿病腎症」を発症すると、肉や魚、大豆・大豆加工食品といった高タンパク質の食品は摂取量が制限されます。それでも「高タンパク質の食品は食べてはいけない」とはなりません。量は少なめになるものの焼き肉も食べられます。

 糖尿病患者さんに求められる食事は、「さまざまな食品をバランスよく食べる」。肉に偏る、甘い物を食べ過ぎる、一食の大半をご飯や麺類などの糖質が占める――などは避けることです。

 理想は主食(ご飯や麺類などの糖質)、肉または魚料理が1品、野菜、キノコ、海藻類、大豆・大豆加工食品の料理が複数品。そして、一日のうち1~2回は卵料理や汁物を食べる。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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