コロナ第4波に備える最新知識

コロナワクチンの効果を評価するのは早すぎるのではないか

イスラエルとチュニジアの2月の新型コロナ死亡者数
イスラエルとチュニジアの2月の新型コロナ死亡者数(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症制圧のため、世界中でワクチン接種が進められている。製薬会社はワクチンは重症化率を抑え、予防効果もあるといい、各国政府もそれを信じ、ワクチン接種者はマスクなし生活ОKとする国もある。

 しかし、本当にワクチンは有効なのだろうか?ワクチン接種の目的は、感染者と共に死亡者の数を減らすことだ。その効果を知るにはただ、亡くなった人の数を羅列するだけでなく、比較が大切だといわれている。

 ならば、2月にはワクチン接種がおこなわれていなかったチュニジア(人口約1193万人)と、95%の有効性をうたうワクチンを世界最速で接種したイスラエル(人口約930万人)との比較はどうか?

 イスラエルは重症化リスクの高い高齢者からワクチン接種が始まり、2月26日時点で人口の約50%にあたる464万人超が少なくとも1回接種し、約35%にあたる326万人が2回目接種を終えている。

 むろん、両国には、人口差以外に高齢者比率、肥満や糖尿病といったリスク要因を持つ人の割合などに違いがある。正しくはグループごとの比較が必要だ。しかし、両国の2月の新型コロナ死亡者数のグラフのトレンドでも大きく異なっても不思議ないと思えるのだが、どうだろうか?

 そもそもワクチンが有効だとする、イスラエルのデータ解析をもって世界中の人が「ワクチンは有効」と考えていいのだろうか?

■論文の解析対象の死亡は41例

 2月24日付の医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」に掲載された「1回目の接種から14~20日後に新型コロナウイルスの発症率が57%低下し、重症化率が62%低下、死亡の予防における有効性は72%」「2回目のワクチン接種から7日以上経過した人は、未接種者に比べて新型コロナウイルス感染症の発症率が94%低く、重症化率も92%低い」との論文からメディアでは「ワクチンは有効」と報じている。その分析手法はもちろん正しいが、評価にはより慎重であるべきだとの考えを持つ向きもある。

 例えば、この論文で最終的に解析した死亡数は41人に過ぎない。それは各約60万人のワクチン接種群と非接種群において、年齢、男女などが同じになるようにマッチングされており、それに外れていると判断された場合の死が除外されているからだ。

 その結果が大規模で厳正な研究により得られたのはわかるが、短期間の、それも少数例の分析の数字をそのまま信じていいのだろうか?

 解析は、経過を追うごとに対象人数が減っていく手法だ。治療薬の臨床研究でもよく使われる一方で、研究者の間でよく問題となるものでもある。対象人数も減り、データの信頼性は疫学的には正しいとされるが、医学的には問題が残る場合もある。

 最近では、拙速にワクチン接種した地域では新型コロナの次の波が早く来ているのではないか、と心配する声もある。また、アナフィラキシーの副反応が米国でも日本並みに高いことも報告されている。

 こうした懸念を「素人考え」「杞憂」「デマ」という人もいるかもしれない。

 しかし、科学は昨日のデマが明日は真実になる世界でもある。まして1年足らずで作られたワクチンに対して評価を下すのに慎重になりすぎることはない。

関連記事