セックスが痛い

正しい性に関する知識は自分の健康を守り人生を豊かにする

写真はイメージ(C)PIXTA

 長い間セックスの痛みに悩んできた自分が、まさか「セックス」に関する仕事をするとは思ってもいませんでした。

 私のライフワークである「性交痛と人の関わりを研究する活動」。セックスについて恥ずかしがらず、普通のこととしてとらえられるようになったのは、性科学と、WHOなど国際機関が定める性の権利や性の健康という概念に出合ったから。

 ジェンダーギャップ指数2020で第3位のフィンランドでは、その概念に沿って、子供の頃から人体の構造から生殖、感情、人間関係、権利、性的健康などを幅広く学ぶそう。それに対し、ジェンダーギャップ指数121位の日本では、性教育といえば生殖と性感染症予防が中心。性を日陰のものとして扱い、下ネタ的に話をするような文化が根付いています。

 私も若い頃、「セックスについて話すのは恥ずかしい」「女だから詳しくなくて当然」「男性にすべて任せるだけでいい」という考えでした。性交痛に直面したときも、不妊かもと思ったときも、積極的に動けず解決に非常に時間がかかってしまいました。いざ不妊治療が始まったら、今度は病院に任せきり。もし、今のように性に関する知識があり、セックスを楽しみたいというのは当たり前と考えられていたら……。きっと恥ずかしがらず、パートナーや医師とも相談して、もっと健康で幸せな人生を過ごせていたはずです。

1 / 2 ページ

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

関連記事