50代独身男性と80代老親のコロナ闘病記

<5>熱と息苦しさで眠れずコロナで亡くなった友人の顔が浮かぶ

「レムデシビル」
「レムデシビル」(C)ロイター

 55歳で糖尿病を抱える私に続き、85歳の母親も陽性が発覚して入院が決まった。不安が募る中、治療が始まる。

 入院当日22時。体温は38・1℃。寝苦しい。肺がコロナにむしばまれている感じがする。これまで体験したインフルエンザとは違う感覚。家庭内感染し、私と同じ症状を追いかけている母は命の危険があるのではないか……。

 午前1時。38・3℃。息苦しい。咳き込む。眠れない。このまま重症化か……。第1波では高校の同期が、第2波では知人が亡くなった。第3波では自分だろうか。ナースコールをしようと思いながら、いつの間にか眠りについた。

 午前5時。ナースから、皮膚を通して動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定するためのパルスオキシメーターが外れていると起こされる。入院期間中、なぜか毎日明け方に外れた。

 入院2日目朝7時。36・9℃。一晩中、熱でうなされた。今朝はやや治まるが、悪化しそうな頭痛、頭皮のこわばり、吐き気があり、不安は続く。

 10時。医師から、母は無事に来院、私のレムデシビルは最短で届き、本日午後から開始との朗報。

■レムデシビルの効果を実感するも母の適用は?

 15時。レムデシビル点滴投与開始(約1時間30分)。

 19時。夜でも熱が上がらない。前日の高熱がウソのようだ。レムデシビルの効果を実感。しかし、10日くらいはアップダウンを繰り返すそうで、油断できない。

 入院3日目朝7時。平熱。息苦しさも咳も改善。

 15時。レムデシビル投与2日目。さらに症状は改善、確実に効いている気がする。

 17時。母の熱は37・5℃と伝え聞く。辛そうだ。血中酸素濃度が下がればステロイド、熱が続く場合、肺の画像が中等症に悪化していればレムデシビル申請とのこと。米国学会はレムデシビル推奨、WHOは反対と治療の標準は定まらない。医師が感染対策室と連携し、最善の選択肢を吟味、検討してくれている。「早く母にもレムデシビルを」との思いが強い。杖歩行なので、転倒も心配だ。スカイプカメラで24時間ウォッチしてもらった。

 20時。母の熱が38℃まで上がった。緊張感が高まる。この時、コロナ新規感染者は減っていても、死亡者は増えていた。

 入院4日目。私はレムデシビル投与3日目。日増しに症状が改善される。母は熱、息苦しさ、咳が続く。夜も眠れなかったという。辛そうだ。母は冠動脈にステントが入っている。夜間の血中酸素濃度は時に93と下がっている。重症化リスクが高い。「レムデシビルを」との思いが募る。

 入院6日目。私はレムデシビル投与5日目(最終日)。母は症状が続き、酸素状態の低下はギリギリ。体中が痛く、看護師さんと体操しているとのこと。

 入院7日目。母は肺の影が憎悪していた。「中等症」との診断がつき、厚労省にレムデシビルを申請。熱は37・2℃。依然、重症化の懸念がある。

 入院8日目。私の採血の結果、レムデシビルによる肝機能障害は大丈夫であったが、やや腎機能が低下していた。水分をたくさん摂るようにとの指導がある。(つづく)

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