がんと向き合い生きていく

甲状腺がん 放射性ヨウ素の内服療法では4日以上隔離される

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「Gさんは閉所は問題ありませんか? この治療は閉所恐怖症の方はできません。放射性ヨウ素を飲んでもらって、4日間あるいはそれ以上、体内から排出される放射線量が基準値以下になるまで隔離されます。そこから出たいと思っても、出られないのです。部屋の中で身の回りのことはすべてご自身で行っていただきます。今のところ予約がいっぱいなのですが、3カ月後には入院できます。それでよろしいですか?」

 Gさんは、入院治療を受ける20日前からヨードを制限した食事をすることになり、病院から具体的に禁止されている食品が載っているパンフレットを渡されました。海藻や海苔などのヨードを含む食品は取ってはならないのです。

■持ち込んだものはすべて被曝する

 そうした指示に従って準備を整え、いよいよ入院することになりました。Gさんは、病室に持ち込む部屋着、着替えの下着のほか、本、CD、歯ブラシ、シャンプー、コップなどを用意しました。持ち込んだものは、すべて被曝します。病院内にコンビニエンスストアはあるのですが、いったん専用病室に入ると、買い物に行くことも許されません。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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