がんと向き合い生きていく

甲状腺がん 放射性ヨウ素の内服療法では4日以上隔離される

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 最初は気になっていた監視カメラもだんだん無視できるようになり、平気でおならもできるくらいになりました。そしてふと、刑務所の独房や宇宙飛行士が搭乗するカプセルが頭に浮かびました。

 結局、そのまま無事に4日が過ぎ、放射線の被曝量が規定値以下になって退院が決まりました。Gさんは、こんなことを考えました。

「この“独房”から4日は絶対に出られないと言われて過ごすのと、同じようにまったく部屋から出ないにしても『いつでも出られる』と思って過ごすのとでは、患者が感じる精神的な負担はかなり違うのではないか」

 そして、今度入院する時は長編小説を持ち込もう……そう思いました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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