「鍼灸」がうつ症状を改善する 専門医がうつ病学会で発表

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 鍼灸の回数は1週間に2回、5週間で計10回。精神症状との関連が想定されるツボに鍼灸をした。計69例、続いて計162例と行った研究では、どちらもK式鍼灸スコアは有意に低下。抑うつ、不安、怒りのスコアも有意な改善が見られた。

「研究結果は想定以上でした。そして患者さんが最も口にしたのが『体が楽になった』です」

■西洋薬では手が届かない部分にも想像以上の効果

 うつ病は、心の症状だけでなく体の症状もある。目まい、不眠、頭痛、動悸、疲れやすさなど症状は多岐にわたり、自律神経が関係している。

「自律神経の症状は西洋医学の治療では手が届かない部分で、抗うつ薬の副作用でかえって身体症状が悪化する場合も少なくありません。抗うつ薬で心の症状が改善し、抗うつ薬を減らしていけば体の症状も軽減していく一方で、患者さんは『気持ちは楽になったけど体の調子が悪い』と訴える。それが、今回の鍼灸を用いた研究で、抑うつ、怒り、不安といった心の症状だけでなく、自律神経の症状も改善するという結果が出たのです」

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