役に立つオモシロ医学論文

話題の治療薬「イベルメクチン」新型コロナへの効果は?

救急車内で新型コロナウイルス陽性反応を示した患者の治療にあたる救急医療チームの看護師(C)ロイター

 その結果、症状消失までの期間(中央値)はイベルメクチンを投与されたグループで10日、プラセボを投与されたグループで12日と、イベルメクチンを投与されたグループで短い傾向にありましたが、統計的に有意な差を認めませんでした。

 つまり、イベルメクチンが新型コロナウイルス感染症の症状消失を早めるかどうかは分からないという結果です。少なくとも、重症化リスクを低下させたり、死亡リスクを減らすというものではありません。

 治療効果に関心が集まったイベルメクチンではありますが、社会が期待しているほど大きな効果は得られないと考えた方がよいでしょう。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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