進化する糖尿病治療法

ダイエットのためには脂質より炭水化物を制限すべきか

バランスよく食べることが大切

 炭水化物摂取量と心血管疾患のリスク、死亡率との関係について、日本人研究者が従来の研究のメタ分析をしたものでは、低炭水化物食では心血管疾患は減らず、総死亡率は有意に増加したと報告しています。

■主食でお腹を満たせない分、おかず量を増やしてしまうと…

 日本糖尿病学会の提言とは別に、糖尿病医の中にも、低炭水化物食賛成派がいます。

 しかし私は、積極的な低炭水化物食には反対。これまでの本欄で述べてきた通り、特定の栄養素を極端に減らすのではなく、バランス良く食べることが大切だと考えています。

 実際、炭水化物を制限している人の食事は、動物性タンパク質や脂質の量が多い。

 主食でお腹を満たせない分、おかずの量を増やしてしまうからでしょう。動物性タンパク質や脂質の量が多くなれば、動脈硬化が進行し、心血管疾患のリスクが高くなります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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