最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

MCSでうつ病患者の在宅医療を細やかにサポートできるように

写真はイメージ

 在宅医療ではがんの患者さんに次いで多いのが高齢者の患者さんです。およそ4分の1が認知症関連の病気を持っており、さらにうつ病などの精神疾患を持っている方も少なくありません。

 実は精神疾患の患者さんへの対応に関して、在宅医療ではマニュアルは存在しません。私たちが常に心掛けているのは、患者さんが精神疾患を持ちながらも日常生活をより良く送れるように、患者さんの生活全般に目を配るということです。これは病院とは違う、在宅医療ならではのケアの仕方といえるでしょう。

 そのためにも、訪問診療、訪問看護、ケアマネ、地域包括、訪問薬局などといった在宅医療に関わるすべての職種が意見交換や情報共有を積極的に行い、どう対応していくか、方向性をひとつに統一しています。非常に役立っているのが、「MCS」(medical care station)という医療・介護者専用のSNS。セキュリティーで守られたウェブ上の掲示板のようなもので、患者さんの自宅を訪問した時の様子や、体温・血圧その他、気になる点などを共有し合う場として活用しています。全員がリアルタイムに患者さんの情報を確認できるので、特に日々違う対応を求められる精神疾患の患者さんの対応には有効なシステムなのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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