ビートルズの食生活から学ぶ健康

退廃的な生活を送っていたリンゴが80歳を超えて健在な理由

リンゴ・スターの最新EP「ズーム・イン」/(提供写真)

 さまざまな医学的調査からわかることなのですが、「抗加齢(アンチエイジング)」のために欠かせない条件として、3つの要素が挙げられます。それは①カロリー制限②抗酸化③腸内環境改善です。私は腸の専門医として医療に長年従事してきましたが、特に注目したいのは③の腸内環境の改善です。米国のある調査では、腸が健康である人は、慢性便秘など腸の不調を抱えた人よりも長寿であるという報告がなされています。

 1980年代、リンゴは退廃的な生活を送ったことにより、アルコール依存症をはじめ健康を害する経験をしました。しかし、アルコール依存症患者の更生施設での療養を経て、89年にカムバックします。その後、彼なりのペースで音楽活動を展開、日本もたびたび訪れ、これまで5回の日本公演を行っています。

 80歳を過ぎても途絶えることのないリンゴの地道な音楽活動の背景には、食を中心とした生活スタイルの大転換があったと私は考えます。ジョージ・ハリスンの影響もあり、ジョン・レノン、ポール・マッカートニーはインド訪問などを通じて、菜食主義に傾いていきますが、リンゴは彼らに比べて菜食主義を選択することには消極的だったといえるかもしれません。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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