このような場合、まず要所にだけバイパスを作っておいてからTAVIで弁交換を行い、その後で再び必要なバイパスを作るケースもありえます。ただ、それでも人工的に弁を設置するわけですから、心臓を持ち上げるなどして不自然な状態にすることはなるべく避けなければなりません。ですから、最初に必要なところにバイパスを作ってからその後にTAVIを実施する選択をしたのです。
ハイブリッド手術は問題なく終わり、心臓そのものはすぐに回復するでしょう。ただ、開いた胸の傷がしっかりくっつくまでは2カ月くらいかかります。また、狭心症と大動脈弁狭窄症の影響で全身が弱ってしまっていたので、ゴルフができるようになるまでは、リハビリで体力を取り戻す必要があります。
とはいえ、これが心臓を止めた状態でバイパス手術と弁の交換を行っていたとすると、日常生活に問題がないくらい回復するまで半年以上はかかるでしょう。
ハイブリッド手術によって早い回復が見込める88歳の患者さんと、一緒にゴルフができる日が今から楽しみです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」