サメ肉は淡泊で上品な味わいですが、独特の臭いが気になるといった話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、現在は輸送や冷凍の技術が進歩しており、生でも冷凍でも、きちんと下処理を済ませたサメ肉であれば、かなり臭いが抑えられています。サメ肉の中でも特にクセが少ないとされるモウカザメの産地、宮城県では新鮮なサメ肉が入手できることもあり、「心臓の刺し身(もうかの星)」が一般家庭でも食べられています。
サメ肉はしっとりとした鶏肉のような食感で、タンパク質が豊富。100グラム当たりの牛肉(ロース=316キロカロリー)、豚肉(ロース=263キロカロリー)、鶏肉(モモ=138キロカロリー)と比較しても127キロカロリーと、獣肉よりもエネルギーが控えめなのが特徴です。小骨がないので料理の手間がかからず、さまざまな料理で使われています。
さらにサメ肉には、牛肉、豚肉、鶏肉には含まれていないDHAやEPAが含まれています。DHAやEPAは、体ではつくることができないため、厚生労働省が摂取を推奨している栄養素のひとつです。もちろん、DHAやEPAは他の魚にも多く含まれますが、たとえばギンザケ100グラム当たりにはDHA1200ミリグラム、EPA740ミリグラム含まれているのに対して、サメ肉(モウカザメ)ではDHA1273ミリグラム、EPA185ミリグラム。EPAは大きく下回ってしまいますが、DHAはわずかに上回っているのです。
ダイエットで食事量を減らすと、食事で取らなくてはならない脂質やタンパク質の摂取量も不足してしまう可能性があります。そういった意味でも、タンパク質と良質な脂質がバランスよく含まれるサメ肉は、ダイエット食材として非常に優秀な食材ではないでしょうか。
また、サメ肉は他の魚に比べて、鉄分、ビタミンB6、ビタミンB12が豊富に含まれているのも魅力です。ビタミンB6は、食品中のタンパク質からエネルギーを産生するため、タンパク質を多く取る人ほど必要ですし、ビタミンB12や鉄分は貧血予防に役立つ栄養素です。
時間栄養学的には高タンパク質と適度なエネルギー、ビタミン類から、朝食で取ると活動の始まりの元気チャージに役立つでしょう。
時間栄養学と旬の食材