「アスピリン」の意外な効果 大腸がんの予防薬になるか?

大腸がんの罹患率は男女合わせて1位で年々増えている(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 解熱鎮痛薬として長年使われているアスピリンと大腸がんに関する新たな研究発表が、世界的に権威のある医学雑誌「ランセット」の姉妹誌に先日掲載された。研究を行った京都府立医科大学大学院医学研究科教授の武藤倫弘医師に聞いた。

 武藤医師らのグループが今回行った研究は、家族性大腸腺腫症(FAP)患者へのアスピリンの効果を見るもの。世界最大規模の試験になる。

「FAPは日本に患者が7300人いる病気で、がんの抑制遺伝子APC遺伝子の異常で起こります。大腸に100個以上のポリープが若いうちからでき、高い確率で大腸がんを発症します」

 ポリープがぱらぱらとできるタイプであっても、60歳までに大腸がんを発生する確率はほぼ100%。そのためFAP患者は20歳ごろに予防治療として大腸を全摘するのだが、生活の質の低下などから、手術を希望しない患者も増えていた。

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