身近な病気の正しいクスリの使い方

蕁麻疹の治療薬は緑内障の人には使えない場合がある

写真はイメージ
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 身近な病気で皮膚に症状が表れるもののひとつに「蕁麻疹」(じんましん)があります。皮膚の一部が急に赤く盛り上がり、しばらくすると跡形もなく消えてしまう病気です。

 蕁麻疹という名前の由来は、「蕁麻」という植物で、蕁麻の葉に触れると同様の皮膚症状が起こることから、この名前が付いたそうです。

 症状の多くは、かゆみを伴った発疹(赤みや皮膚のブツブツ)が次々と表れ、数十分から24時間以内に消える――といったものです。

 皮膚の表面が湿ってじゅくじゅくしていたり、何日も症状が消えない場合には、蕁麻疹ではない可能性があります。蕁麻疹の多くは原因不明ですが、物理的刺激(気温の差、日光など)やアレルギーなど明らかな原因によって起こる場合もあるので、過去に蕁麻疹の既往歴がある方で、原因が特定されている場合には、まずは原因を避けることが大切です。

 蕁麻疹は前述の通り1日待てば治るのですが、かゆみは我慢し難いこともあり、治療はかゆみに対する対症療法を行うのが一般的です。抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬が用いられ、内服薬で治療を行います。

 抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が出やすい薬なので、運転には注意が必要です。ただ、蕁麻疹が出ている状況では治療が優先されるでしょうから、速やかに薬を飲むことをお勧めします。

 ただし、前立腺肥大や緑内障がある人は、これらの症状を悪化させる可能性があるため、「禁忌」=「使ってはいけない人」に該当します。抗ヒスタミン薬は市販薬として薬店でも購入可能ですが、治療中の病気がある方は使えない場合もあるのです。薬を選ぶ際には薬剤師に相談するようにしましょう。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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