最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者のQOL維持が何より重要 食事も好きなものを好きな時に

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 病院から在宅医療に切り替えた患者さんやご家族から「病院食は食べられなかったけど、自宅に戻ったら少し食べられるようになりました」といった声をよく聞きます。

 私たちの診療所には、診療パートナーというスタッフがいます。看護師、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、救急救命士、管理栄養士といった医療資格者で構成され、医師の診療補助のほか、患者さんが少しでも快適に過ごせるように、療養生活全般にわたってアドバイスを行います。

 たとえば、咀嚼に問題がある患者さんに対しては、どういったものを食べたり飲んだりすればいいかなど、言語聴覚士や管理栄養士らが必要に応じてアドバイスします。

 食の好みひとつとっても患者さんごとに異なりますから、自宅にある食品などを確認し、普段この患者さんがどんな食べものを、どのように食事されているのかをチェック。その上で、誤嚥を起こさず楽しく食べるための工夫を提案します。背中にクッションを当てるだけで、のみ込みがうまくいくこともあるので、そういう場合は「ここに、このようにクッションを置いてみてください」などと具体的に伝えます。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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