最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者のQOL維持が何より重要 食事も好きなものを好きな時に

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 在宅医療が始まった初日、私たちは患者さんの要望を聞くことから始めました。ご本人の意思ははっきりされており、開口一番「化学療法による食欲減退だけでなく、そもそも病院での食事が口に合わなかった」「味も何もしなくて、もういらないとなってしまう」「口から食べる楽しみを味わいたい」とおっしゃいました。

 そこで抗がん剤の副作用を減らし、食事ができるように薬などを調節。好きなアイスやヨーグルトを食べられるようになり、「口から食べる生活」をみとりギリギリまで送られたのです。ご家族によれば、患者さんが最後に食べた食事は、梅干し入りの白いおかゆだったそうです。

 このように、みとりの最後まで患者さんの生活を見守るのが在宅医療なのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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