在宅医療が始まった初日、私たちは患者さんの要望を聞くことから始めました。ご本人の意思ははっきりされており、開口一番「化学療法による食欲減退だけでなく、そもそも病院での食事が口に合わなかった」「味も何もしなくて、もういらないとなってしまう」「口から食べる楽しみを味わいたい」とおっしゃいました。
そこで抗がん剤の副作用を減らし、食事ができるように薬などを調節。好きなアイスやヨーグルトを食べられるようになり、「口から食べる生活」をみとりギリギリまで送られたのです。ご家族によれば、患者さんが最後に食べた食事は、梅干し入りの白いおかゆだったそうです。
このように、みとりの最後まで患者さんの生活を見守るのが在宅医療なのです。
最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと