医者も知らない医学の新常識

ウイルスへの免疫を高める可能性 ビタミンDで感染症に勝つ?

サケはビタミンDが多い
サケはビタミンDが多い(C)日刊ゲンダイ

 ビタミンDはビタミンという名前は付いていますが、実はステロイドホルモンの一種で、骨の健康を維持する以外にも、多くの生理的な働きを持っています。なかでも最近注目されているのは、ウイルスなどによる呼吸器感染症への、体の抵抗力を高めるような働きです。

 ビタミンDの代謝物が、呼吸器感染を起こすウイルスに対する免疫を高める、という実験結果がありますし、血液中のビタミンDが低いと、呼吸器の感染リスクが高まるという報告もあります。

 実際に新型コロナウイルス感染症においても、ビタミンDが不足していると重症化しやすいというデータがあります。

 それでは、サプリメントとしてビタミンDを補充することにより、呼吸器感染症にかかりにくくなるのでしょうか?

 今年のランセットという一流の医学誌に、それについての研究結果が報告されています。

 これまでの精度の高い研究データをまとめて解析した結果、ビタミンDをサプリメントとして使用すると、肺炎などの急性呼吸器感染症の発症が、抑えられることが示されました。ただ、データにはばらつきがあるので、その原因によっても効果には違いがありそうです。期待のし過ぎは禁物ですが、新型コロナウイルスも呼吸器感染を起こすウイルスですから、ビタミンDがその予防につながる可能性もあるのです。

 今後の研究結果に注目です。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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