太る?何を飲めばいい?プロテインで知っておきたい4つのこと

写真はイメージ
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 プロテイン市場の拡大が止まらない。特に、タンパク質を粉末状にした粉末プロテインの売上の伸びが顕著で、2020年度の販売金額は152・4億円。前年比140・8%と大きく伸長し、21年もその勢いは衰えることがなさそうだ。実際、1月の販売金額の前年比は147・9%、2月は145・9%となっている(インテージ調べ)。

 コロナ禍の自粛生活で運動不足や体重増加に悩み、自宅で運動をスタートさせた人も多いだろう。タンパク質は筋肉の維持、増量に欠かせないため、プロテイン市場の拡大はその影響もあるだろうと考えられるが、一方ではこんな人も。

 都内在住の50代女性は、長年ダイエット指導のアプリを使用。タンパク質不足を指摘され続けてきた。タンパク質摂取量の目安は、一般的に体重1キロ当たり0・8グラム(1日)と言われているが、食事に気を付けても1日の推奨量に達しない。タンパク質は髪や皮膚のためにも重要なので、老化予防のためになんとかしようと、プロテインの活用を思い付いた。

「するとすぐに推奨量をクリアできるようになりました。しかし、太るのではないかという不安もあります」(50代女性)

 確かに、運動量を増やしたわけでもないのに、「これまでの食事+プロテイン摂取」となれば、摂取カロリーだけが増えてしまう。大丈夫なのだろうか?

「それはみなさんよく誤解されている点ですが、プロテインを取り始めたからと言って、太るわけではありません」

 こうきっぱりと言うのは、スポーツジム「PLAYGROUND」銀座店のエグゼクティブトレーナーKENICHIさん。20代のときは国内外のさまざまなプロテインをとことん試し、30代の現在は、自分の目的に応じたプロテインを使い分けているというだけあって、プロテインに関して非常に詳しい。

 KENICHIさんによれば、大半の人がタンパク質不足。食事から摂取できればいいものの、たとえば鶏胸肉は100グラム中タンパク質量が25グラム、卵は1個6グラム強、納豆は1パック6〜8グラム前後なので、体重50キロの人が必要なタンパク質量(40グラム)を取ろうと思うと……。毎日続けるのは難しいことが分かるだろう。

「しかも、タンパク質は『取り貯め』ができません。1回30グラムを上限に、3食ごとに取るのが理想的。運動をしている人なら、よりたくさんのタンパク質の摂取が必要ですから、1日に何回かに分けてこまめに取る必要があります。食事で取るとなると、大変な上に、かえって摂取カロリーが過多になる心配があります。だからこそ、プロテインを上手に利用するといいのです」(KENICHIさん=以下同)

 運動していない人がプロテインで少々摂取カロリーが増えても、タンパク質をきちんと摂取できることを考えると、メリットの方が上回る。

 せっかくなので、より効率を上げる取り方、NGの取り方を知りたい。KENICHIさんに教えてもらった。

【普段はソイまたはカゼイン、運動前後はホエイ】

 プロテインにはソイ、ホエイ、ガセインという3種類があり、ソイは大豆由来、ホエイ、ガセインは乳由来。ソイとガセインでできたプロテインは摂取後、体への吸収が遅く、ホエイは早いという特徴がある。そのため普段の食事中はソイやホエイがいいが、運動前後には効率よく筋肉を作るためにホエイの摂取がいいそうだ。また筋トレ中などで「体を大きくしたい」という目的がある場合も、ホエイが効果的。

【プロテインの成分表示をチェック】

「筋トレをしていて体を大きくしたい人なら、炭水化物が多めに入っているものがいい。また、ダイエット中の人でも炭水化物は体に栄養を運ぶために欠かせないものですから、必ず取ってほしい。しかし多すぎるのも良くないので、成分表示で炭水化物が上位にきていないタイプを選んでみてください。成分表示では、含有量が多いものから上位に記載されます」

【牛乳で割るときは注意】

「割り方によっては、カロリーが上昇してしまいます。牛乳で割って飲む場合は、牛乳のカロリーがオンされることになるので注意が必要ですね。僕は水で割って飲むことをオススメしています。プロテインを選ぶ際に大事なのは“飲む目的は何?”ということです」

【ソイプロテインを寝る1時間前に飲む】

 これは実際にKENICHIさんがやっている方法。

「人は入眠後1~2時間後に脳下垂体から成長ホルモンが出て、体の様々な部位の代謝を促し、体内を回復させます。そのとき体内にタンパク質がないと、タンパク質の吸収を促すことができません。つまり、夜に体が飢餓状態になっているのは良くない。ですから、僕は眠る1時間前にプロテインを飲んでタンパク質を補給しています」

 気を付けていてもなかなか普段の食事では推奨量をクリアできないタンパク質。年齢を重ねると、どうしても食が細くなってしまい知らぬ間に栄養失調状態になることもある。タンパク質が足らないな、と思う人は食事にプロテインをプラスして手軽に補ってはどうか。

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