全米で年100人死亡というが…ヒアリは本当に殺人アリなのか

「殺人アリ」は大袈裟?(環境省提供)

 しかし同年7月3日には、東京港の大井ふ頭で、空のコンテナから働きアリ200匹が見つかった。女王アリは発見されなかったのだが、卵やさなぎなども多数見つかっている。発表は7月6日で、「殺人アリ、東京に現る」と大騒動になったのだ。

 その後も断続的に全国の港でヒアリが見つかり、その都度駆除されて、国内への侵入は食い止められてきた。ところが2019年10月に事態が一変する。東京港の青海ふ頭から、女王アリ50匹、働きアリ約750匹が見つかったのだ。環境省の資料などには「繁殖可能な女王アリが飛び立ち他に広がった可能性がある」「ヒアリ対策のフェーズが変わったものと認識する」といった言葉が並んでいる。どうやら定着が始まったようだ。

■アリはハチの親戚

 ところでヒアリは、実際にどれだけ危険なのだろうか。「噛まれる」と思っている人もいるだろうが、実際には「刺される」が正解。もちろんアリが大顎で噛むことはあるが、顎には毒はないので、ちょっと痛いだけ。しかしアリは生物学的にはハチの親戚なので、毒針を持っている種がいる。実際に刺すこともある。日本の在来種であるオオハリアリやクシケアリなどは人を刺すし、刺されると相当痛いといわれている。

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