全米で年100人死亡というが…ヒアリは本当に殺人アリなのか

「殺人アリ」は大袈裟?(環境省提供)

 ただし刺されれば、それなりに痛い思いをするという。厚生労働省の資料によれば、「刺された瞬間は熱いと感じるような激しい痛み」があり、「やがて刺された痕がかゆくなる」とある。傷はニキビ大から直径2センチ程度に赤く腫れ、その中心には、毒で死んだ細胞が白い膿になってたまる。また海外で刺された人の証言などによれば、「ハチに刺されたのと同じくらい痛い」という。

「ヒアリがこの先、国内でどこまで拡散するかはまだ分かりません。昨年は全国の港で16件、ヒアリが確認されていますが、定着したかどうかは不明です。青海ふ頭がその後どうなったかも気になります。気候的には茨城県以南は十分に生息可能とされていますから、今年の夏にお台場あたりで、初の被害者が出るかもしれません」

 ヒアリの最大のライバルは他のアリといわれている。原産地では他に強いアリたちに圧倒され、弱い立場に甘んじている。そのため環境省のヒアリ対策マニュアルなどには、駆除の目的で、むやみに殺虫剤を散布するのは慎むように書かれている。他のアリも一緒に駆除されてしまうため、できた空白地帯に、新たなヒアリが進出していく。

 まずは日本のアリたちの健闘を期待したいところだ。

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