時間栄養学と旬の食材

キクラゲは骨折・がん・感染症予防に役立つ夕食向けの食材

キクラゲはビタミンDが豊富
キクラゲはビタミンDが豊富

 キノコの仲間であるキクラゲは、非常に栄養価に優れた食材です。ゴボウの約3倍もの食物繊維が豊富に含まれ(どちらも茹でた状態で比較)、不溶性・水溶性両方の食物繊維も含まれています。特に不溶性食物繊維が多いので整腸作用が見込め、急激な血糖値の上昇を抑えてくれるので夕食向きの食材ですね!

 また欠乏すると骨折リスクが3.2倍(※背骨以外)になるといわれているビタミンDとミネラル。実はキクラゲに含まれるビタミンDは食品の中でもトップクラスの含有量なのです。

 厚生労働省によると、ビタミンDの摂取量の目標は1日8.5マイクログラムですが、20~40代は目標値の半分以下。比較的多く摂取している70代以上も6.2マイクログラムで、きちんと取れていません。ビタミンDは日光を浴びることによっても体内で作られるのですが、近年では過度の紫外線対策により不足しがちな栄養素ともいわれています。そのため、若い人の骨折や骨軟化症、幼児や小児のくる病も増加しているのです。

 さらに、血液中のビタミンD濃度が高い人は、がんにかかるリスクが最大25%低下したという報告もあります。また、ビタミンDを十分摂取している人はインフルエンザ感染リスクが42%低下したといった研究結果もあるので、がん予防や免疫機能を調整する働きも!

 ビタミンDは油に溶けやすい性質があるので、油と一緒に食べると吸収率がアップします。

 中でもビタミンDが含まれる卵黄とあわせて食べることでさらに摂取量アップが見込めます。キクラゲ卵は非常に理にかなった調理法なのです。時間栄養学で朝食べたいタンパク質は卵白に多いので、より夜向きにするなら卵黄のみ使うのもいいでしょう。

 キクラゲには乾燥キクラゲと生キクラゲがあります。ビタミンDは日光に当たると増える性質があるので、天日干しした乾燥キクラゲの方が生キクラゲの10倍もビタミンDが増えたという報告があります。

 乾燥キクラゲは水で約6時間ほどじっくり戻す方法でうま味が流れ出さず、食感のよいキクラゲになるのでぜひ試してみてください。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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