コロナ第4波に備える最新知識

緊急事態宣言解除後に感染者急増のナゾ 「腸管」で持続感染?

新規感染者数が急増
新規感染者数が急増(C)日刊ゲンダイ

 マスク着用、手指消毒、3密回避を徹底し、首都圏では延長を含めて2カ月半も緊急事態宣言を続けた。この間、感染者をあぶり出すPCR検査が全国で毎日約2万~7万件ほど行われ、陽性者の隔離も続けてきた。

 ところが、大都市圏での緊急事態宣言が解除されて間もなく東京、大阪で1日当たりの新規感染者数が急増。これまで新規感染者が見られなかった地方でも感染者が増えた。早くも第4波襲来への懸念が高まっている。

 期待されたワクチンも当面あてにできないようだ。筑波大学の人工知能を使った研究によると、東京都で仮に昨年夏の第2波と同じペースで感染が再拡大した場合、ワクチン接種がどう影響するかを試算したところ、5月中旬には第4波のピークを迎える可能性があり、その場合、東京都の1日の感染者数は1850人になるという。一方、高齢者に優先接種を行い、1日0・3~1%の都民にワクチン接種ができたとしても1日1500人以上の感染者が予想され、感染拡大を抑えることはできないとしている。

 なぜ、感染拡大を抑制できないのか。感染力の強い変異株が欧米から侵入、拡大しているといわれるが、街中の無症状スプレッダーの影響も無視できないのではないか。
彼らが野放しになっているのは今のシステムでは陽性者を正確にあぶり出せないからではないか。

 現在、感染を判定するPCR検査が検査対象としているのは鼻や咽頭だ。しかし、その感度は70%程度で、綿棒が当たった場所にウイルスが存在しない場合は「陰性」と判断される。他の場所でウイルスが増殖している場合もある。

■ワクチンが寝た子を起こすことにならないか

 たとえば、腸管だ。中国が入国する外国人に対して肛門検体採取PCR検査を実施していることが話題になったが、それは新型コロナウイルスの痕跡を検知可能な時間が上気道や唾液より糞便の方が長く確実に検知できると考えているからだ。

 新型コロナウイルスはウイルス表面のスパイクタンパク質を介してACE2受容体を発現している細胞に感染する。この細胞はさまざまな臓器に存在するが、発現の程度は上気道のほかに小腸の上皮細胞にも強く発現する。だからこそ、新型コロナは風邪症状以外にも消化器症状を起こすことがあるのだ。

 腸管に感染していても下痢などの自覚症状がないケースもある。

 下水が完備されている日本では、他人に感染させる能力はないかもしれない。しかし、ストレスなどで抵抗力が低下した際に再び体内でウイルスが広がり、上気道や唾液にウイルスが増え、他人に感染させるようになることも考えられる。

 腸管に持続感染している状態でワクチンを打つと寝た子を起こすことにならないのか?

 ワクチン接種によって免疫応答が誘導されると、サイトカインによって免疫細胞(マクロファージ)が活性化し、新型コロナウイルスの受容体であるACE2受容体が発現する。ウイルスに感染した免疫細胞が腸管から他の組織にウイルスを運んでしまう可能性は考えられる。PCR検査で陰性だった人が、新型ワクチンを接種した後に陽性になることも報告されている。

 ワクチンを打ったことによる気の緩みではないかとの推測もあるが、単に腸管に潜んでいたウイルスが活性化した可能性もあるのではないか。

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