がんと向き合い生きていく

進化した大腸内視鏡検査を受け研修医時代と恩師を思い出す

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 先日、大腸内視鏡検査を受けました。検査2日前からの食事制限や下剤を内服しての前処置などが必要で、それなりの負担はありましたが、検査そのものは苦しいことはまったくありませんでした。

 内視鏡検査を行ってくれた医師は、検査中に「大丈夫ですよ」「もう、上行結腸を見ていますよ」「もう少しで終わりますよ」など、受検者である私の緊張をほぐしながら各部位の写真を撮り、10分程度でまったく苦痛なく検査を終えることができました。

 検査が終わってホッと一息ついた私は、安静室で残りの点滴が終わるのを待ちながら、昔の内視鏡検査を思い出していました。

 もう、50年以上も前のお話です。学生だった私が外科の臨床実習中に内視鏡検査の見学をしている時のことでした。患者は女性で、直腸がんを疑われていました。スカートのような検査着を着用し、検査台の上で左側臥位(左側を下にして横向きに寝た状態)となったその女性に対し、検査医が真っすぐな筒状の鋼製直腸鏡を肛門から挿入していきます。

1 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事