医者も知らない医学の新常識

足の血流は痛みが出る強度まで運動することで改善する

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 動脈硬化は血管が老化することです。老化した血管は硬くなり、次第に細くなっていきます。心臓を栄養する血管が動脈硬化によって狭くなり、最終的に詰まってしまうのが心筋梗塞という病気で、同じことが脳の血管に起こると、脳梗塞になります。こうした変化は心臓や脳にだけ起こることではありません。

 歩き始めには何も症状がなくても、しばらく歩くと足が痛くなって、それ以上歩けなくなり、休むとその症状が良くなることがあります。これを間欠性跛行と医療用語では呼んでいて、足の血管に動脈硬化が起こり、血管が狭くなることによって起こります。

 進行すると、皮膚の色が悪くなり、潰瘍ができ、足を切断しないといけなくなることもあるのです。この病気が悪化する前であれば、運動をして血流を改善することにより、歩ける距離を長くすることができます。ただ、そこには少しコツがあるのです。

 今年の米国医師会雑誌に掲載された論文によると、足の動脈硬化で歩くと痛みの出る患者さんに、痛みの出る強度まで運動してもらうと、1年で30メートル以上も歩ける距離が長くなりました。

 しかし、痛みが出るまで運動しないと、むしろ歩ける距離は短くなっていたのです。

 これはもちろん自己流では駄目で、お医者さんで診断を受け専門家の指導の下で行う必要がありますが、運動はこの病気には最も有効な治療法なのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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