最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

地域医療連携が在宅医療患者と家族の不安を解消する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そんな地域医療連携が有効に機能したことで、在宅医療を始められたこんな例もありました。

 70代後半のがんを患う男性と人工透析に通う奥さまの2人のご家庭で、近隣には息子さんがお住まいでした。次第にご本人の体力が衰えだし、自力でのトイレや食事もままならなくなってきました。しかし、「在宅医療は奥さまをはじめ、さまざまな人に迷惑をかける」と、ご本人は入院を一時は選択。ですが自宅にいたいというお父さまの思いを酌んだ息子さんが当院の地域連携へ相談の電話。診療費や訪問の頻度、家でどんな治療ができるのかなどの説明を聞いて安心し、在宅医療を受けることになりました。

 それでも患者さんやご家族には不安がある。そこで役立つのが、「診療リポート」です。

 これは、私たち在宅医師が診療が終わるたびに、患者さんの体温や血圧などの医療情報だけでなく、患者さんとの会話内容も記録。さらには患者さんと心身の状態を把握し、その情報を関連するケアマネジャー、訪問看護、訪問薬局などの各事業所と共有するためのシステムです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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