独白 愉快な“病人”たち

透析が一生続くとわかって…宿野部武志さん腎不全との闘い

ピーペック代表理事の宿野部武志さん(提供写真)

■「がん=死」と思っていたので激しく動揺した

 1年間勉強して、さあ、あと1カ月で国家試験というときに告知されたのが「腎細胞がん」です。

 ある日、血尿があったので近所の病院を受診すると、あっけなく「腎細胞がんですね」と告知されました。当時は「がん=死」と思っていたので激しく動揺しました。会計で順番を待つ間も拳を握りしめていないと涙が出てしまうほど。帰りの駐車場で、普段なら絶対にしないようなところでクルマをぶつけてしまったくらいショックを受けていました。

 ところが、次に病院に行ったときに医師から「あ~宿野部さん、がんじゃなかったみたい」と軽く言われたんです。一気にその医師を信じられなくなりました。「今さら、がんじゃなかったみたい~はないだろう」と思い、すぐに検査記録を取り寄せて、透析導入した大学病院でセカンドオピニオンを受けました。再び検査をやり直すと、やはり「腎細胞がん」と診断され、腹腔鏡で左腎の摘出手術を受けたのです。

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