ただしAIのアプリ本体が、スマートフォンに搭載されるわけではない。AIサービスを行う民間企業の、どこかのサーバー(日本国内に置かれているとは限らない)にデータが自動的に送られ、強力な人工知能で処理される。スマホのアプリは、データの送受信を仲介し、AIの診断結果を表示するだけである。
もちろん、ユーザーにとってはそれで十分だろう。だがAIサービスを行えるのが、GAFAなど海外のIT企業に限られる可能性が高いため、日本経済にとっては必ずしもプラスではないし、日本人の健康情報が海外の企業に吸い上げられることも問題だ。
日本国内の通信はすべて大手キャリアーが握っているし、家庭用血圧計や体温計などの国内メーカーも揃っている。すべて国産で揃えることが可能なのだから、日本企業にはもっと大きな視野に立って、戦略的にビジネスを展開して欲しいところである。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。