科学が証明!ストレス解消法

緑や自然がストレスを軽減 机にミニ観葉植物を置くのもOK

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 桜も終わり、新緑の季節が到来しました。気持ちの良い季節になりましたが、人が集まるような場所へ出かける際は、まだまだ油断はできません。「密」を避ける気持ちを持つなど、警戒心を持った行動が大事。一方で、「思う存分、何も気にせず羽を伸ばしたい」という願望にも似た気持ちを抱く方も多いはず。「密」を避けられ、ストレスも吹き飛ばせる場所……そんな場所があれば苦労しないのですが、実は身近に存在することをご存じでしょうか? 

 2019年に発表された米ミシガン大学のハンターらの調査では、都会暮らし36人の被験者に8週間、週に最低3回10分以上、自然に触れる機会をつくって過ごしてもらいました。場所は、被験者それぞれが「自然」と感じる場所(近所の公園だったり、山だったり)を選んでもらい、その上で各被験者に調査期間中、4回にわたってコルチゾールの分泌量(ストレス度合い)をチェックしました。

 その結果、20~30分間、自然に触れると最も効果があることが分かり、ストレス値が1時間当たり28・1%も低下したのです。また、30分を経過するとストレスそのものが下がる半面、下がるペースは鈍化することも分かったそうです。

 つまり、たった20~30分ほど自然を感じるような場所に身を置き、森林浴をするだけでストレスレスな暮らしに近づくというわけです。

 自然との接触がなかった人と比べて、自然に触れた時間が1週間で120分以上ある人は、前者よりも健康状態が良く、幸福感を感じるといわれています。ウオーキングでも構わないので、日頃から自然を感じる運動を取り入れると◎。

 そして、休みの日などは、キャンプや自然あふれる地域を散策するのも効果的です。

 面白いところでは、米カンザス大学のアチリーらの研究(12年)に「自然の中に3日間いると問題解決能力が高まる」という調査結果があります。

 実験では、彼と学生22人がユタ州の峡谷でキャンプをし、3日間キャンプしながら歩き回ったグループと、そうではないグループに分け、比較しました。すると、前者の方が問題を解決する能力が5割も高まり、論理的に積み上げていく思考力や知的能力が向上したといいます。自然が私たちに良い影響を与えることは、イメージだけではなく、実証的な根拠があるのです。

 もちろん、中には「そんな場所に行く余裕がない」という方もいるでしょうし、ウオーキングが嫌いという方もいると思います。それなら、ガーデニングがおすすめ。ガーデニングといっても机やテーブルの上に自然を感じられるミニ観葉植物やミニ盆栽を置いておくだけで大丈夫。たったそれだけで、疲労の軽減につながるという千葉大学の研究もあります。

 森林浴に出かける時間や状況にない場合は、目に見える範囲内に自然を感じられるものを用意すること。自然に触れるだけで、リラックス度は大きく変わってくるのです。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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