新型コロナワクチンの疑問に答える

日本がワクチン開発に予算をかけないのはどうしてなのか

高齢者のワクチン接種が始まったが…(C)共同通信社

【Q】日本がワクチン開発に予算をかけないのはなぜか

【A】「日本政府は国内で流行が始まった1年前、当初の20年度補正予算で、国産ワクチン開発支援に100億円を計上しました。一方で、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)など国際団体には、その2倍以上の金額を拠出しています。この時点で日本政府は、国産ワクチンの重要性を認識せず、輸入すればよいと思っていたのでしょう。第2次補正予算でようやく厚労省の日本医療研究開発機構(AMED)がワクチン開発支援に478億円を付けて、21年1月の第3次補正予算で国内企業が大規模な臨床試験を行う際の費用を補助するために約1200億円を計上しましたが、間に合わないでしょう」

 完全に認識が甘かったのだ。その結果、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社のワクチン調達費用に6714億円を拠出することになった。しかも、新型コロナウイルスのワクチンを使って健康被害が出た場合の損害賠償は、自国で賄うことになっている。

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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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