コロナ禍で急増中!「歯ぎしり」をしっかり改善したい

写真はイメージ
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 新型コロナウイルスのさらなる感染拡大が続いている。大阪、兵庫、宮城に続いて東京、京都、沖縄でもまん延防止等重点措置が適用され、まだまだ不自由な生活を強いられることになる。ストレスがたまりがちな環境で注意しなければならないのが「歯ぎしり」だという。小林歯科医院の小林友貴氏に詳しく聞いた。

「深刻な歯ぎしりに悩んで歯や顎に痛みを訴え、『ナイトガード』と呼ばれる睡眠時用のマウスピースを作りたいと希望する患者さんが明らかに増えています。コロナ以前は1カ月に1人いるかいないかでしたが、最近は月に5~6人ほど来院されます」

 歯ぎしりには3つのタイプがある。①上下の歯をすり合わせる「グラインディング」②上下の歯を強く食いしばる「クレンチング」③上下の歯をぶつけ合う「タッピング」で、いずれも無意識に行っている。就寝中に起こるケースがほとんどだが、音が出ないクレンチングは日中でも知らず知らずのうちに繰り返している人も多い。

「歯ぎしりは、ギリギリ、カチカチといった音で周囲に不快感を与えるだけでなく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。歯が摩耗して痛みを起こしたり、歯周病の原因になったり、歯の詰め物が取れてしまったり、歯が欠けるケースも。顎の痛みや顎関節症、頭痛や肩凝りの原因にもなります」

 歯ぎしりの最大の原因はストレスで、ストレスが高まる時期には歯ぎしりが頻繁になり、食いしばる力も強くなることがわかっている。「ストレスがかかると解消するために歯ぎしりをする」との報告もある。

「マウスピースの製作を希望される患者さんが増えたのは、やはりコロナの影響が大きいと思われます。感染に対する不安はもちろん、外出自粛やテレワークが続くなど、生活環境が一変したことでストレスをため込む人が増えたのでしょう。自宅にいる時間が増えたことで、歯を強く食いしばりながらテレビ、パソコン、スマホの画面を凝視する時間も長くなり、症状が表れた人もいます」 米国の歯科クリニックでも、「歯が欠けたと訴えてクリニックを訪れる患者の数が増えている」「歯をこすり合わせたり噛みしめるなどの症状が、これまでにないほど広く見受けられる」といった報告がある。やはり、コロナ禍のストレスが影響していると考えられている。

■顎に痛みがある人は付箋紙を活用

 歯ぎしりを改善するにはストレスを解消したり、生活習慣を見直すことが必要になる。ただ、気づかないうちにストレスが蓄積している人も多く、日常生活で根本的な原因を取り除くのはなかなか難しいだろう。となると、どんな治療があるのか。

「歯ぎしりの治療はマウスピースを作って就寝時に着用する方法が一般的で、歯の摩耗を防ぐために効果的です。ただ、ストレスによる歯ぎしりが原因で顎の痛みや顎関節症を発症している場合は、マウスピースを装着すること自体が患者さんにとって大きなストレスになるケースもあります。ほかに、無毒化したボツリヌス菌を咬筋に注射して筋肉の動きを抑えるボトックスという治療もあります。まずは歯科医師にしっかり相談してください」

 また、日中に歯を強く食いしばって(クレンチング)歯や顎に痛みが出ている人は、ちょっとした工夫で症状が改善するケースもある。自宅や職場のパソコン、デスク周り、テレビ、スマホなど、目につきやすい場所やツールに「食いしばらない」「歯を離す」などと記した付箋紙を貼って、それを目にした時に力を抜いて上下の歯を離すようにする。

 これだけで、食いしばりが減って痛みが改善されるケースは少なくないというから、まずはこちらを試してみるのもいい。

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