胃がんや大腸がんなどほかの多くのがんでステージ0なら、部分切除で済みます。佐藤さんが全摘したのはなぜかというと、厄介な性質が関係しています。
実はDCISは、がんが広がっている範囲が特定できません。部分切除で済むには、がんの場所を特定できることが不可欠ですが、特定できないがんを部分切除すると取り残しのリスクが高い。取り残しが浸潤がんになることもあるため、ステージ0でも全摘が一般的なのです。
乳がんは古くはしこりなどの自覚症状で見つかることが多かったのですが、マンモグラフィーやエコーなどの検査精度の向上や実施数の増加で自覚症状のない早期で見つかるケースが増えています。そんなタイプにDCISが含まれていて、この10年で5倍に増加。検診で発見される乳がんのうち、2割がDCISです。
これらの検査で拾っているのは、微小な石灰化の病変。石灰化がすべてがんになるわけではありません。石灰化が見つかると、生検して細胞の悪性度を調べることが重要です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵