がんと向き合い生きていく

がんと糖尿病、医師の“言葉”がなぜこうも違うのでしょう?

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「大腸がんと糖尿病のことで相談したい」

 ある診療所に出向いたとき、そう希望するGさん(58歳・男性)が来院されました。その際、こんなお話をうかがいました。

 ◇  ◇  ◇ 

 先生、私は大腸がんがそんなに進んでいない段階で見つかって本当に良かったと思っています。やはり検診は必要ですね。「ステージ1」とまだ早い段階でしたので、内視鏡の治療で済みました。

 その後の抗がん剤治療は、担当の先生から「必要ない」と言われました。これからは、またがんが出てこないかどうかを定期的に検査してもらいます。大腸の内視鏡検査は嫌いだけどガマンします。検査そのものは嫌ではないですけど、下剤をいっぱい飲んで便を全部出すのがね……。それでも、おかげさまで元気だから感謝しています。嫌だなんて言わないで、次回も検査を受けます。担当の先生は優しく説明してくれますから。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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