がんと向き合い生きていく

がんと糖尿病、医師の“言葉”がなぜこうも違うのでしょう?

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の方は、3カ月ごとに病院で診てもらって、もう10年にもなります。ここのところコロナで外に出られない生活が続いていて少し太りました。先日、いつも通っている糖尿病科でこう言われました。

「HbA1cの値が悪すぎる。食事のことは、以前、教育入院した時に教わって分かっているでしょう? もっといい値になって病院に来なさい。値が悪くなったのはあなたが悪いんですよ。あなたの食事管理、食べ方が悪いのです。今度、奥さんも一緒に来てもらって、もう一度、栄養科でしっかり教わるようにされたらどうですか」

 なんだか本当に私は悪者扱いなのです。

 糖尿病科の先生にはこんなことは言えないですけど、「もっといい値になって病院に来なさいと言われても、いい値になったら病院に行かなくてもいいんじゃないですか? いい値になって病院に来なさいってのはおかしいですよ。いい値かどうかは、病院で調べてもらって初めて分かるのに」と思いましたよ。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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