医者も知らない医学の新常識

数値が高いと痛風を招くが…尿酸は低いと認知症になりやすい

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 尿酸というのは、プリン体という体にとって重要な物質が分解された代謝物で、尿から排泄されるのでその名前がありますが、実は便と一緒に排泄されることも分かっています。

 過剰な尿酸が体にたまると、関節で結晶化して炎症を起こし、激しい痛みの発作になることがあります。これを「痛風発作」といいます。

 尿酸値が高いと高血圧や心臓病、腎臓病などの危険性が高まるという報告もあり、数値によっては薬により尿酸を下げる治療が行われます。

 このように高いと良くないと思われている尿酸ですが、実は低いと病気が増えるという報告もあります。

 一部のがんは尿酸の低い人で多いというデータがあるのです。

 それでは、認知症と尿酸との間にはどのような関係があるのでしょうか? 今年の神経科学の専門誌に、血液の尿酸値と認知症との関係を調べた論文が掲載されました。これまでの報告をまとめて解析した、メタ解析と呼ばれるものですが、それによると、尿酸が正常より低いと、アルツハイマー型認知症が多くなっていた一方で、動脈硬化によって起こる血管性認知症には、そうした関連は認められませんでした。

 その原因は不明ですが、尿酸は体の酸化を防ぐ抗酸化物質でもある。それが脳には良い影響を与えている、という可能性も考えられます。尿酸は低い数値も気を付けた方がいいようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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