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外食ばかりは体に悪いというのは本当か? 米専門誌で報告

あなたの食習慣は?
あなたの食習慣は?

 自宅で料理をせず外食ばかりしている食習慣は、食事バランスの偏りなど健康に悪いイメージを持たれている方も多いでしょう。たしかに、家庭外における食事は総カロリー、脂肪分、塩分の摂取が多く、野菜や果物類の摂取が少ないという研究も報告されています。

 そんな中、外食の頻度と死亡リスクの関連性を検討した研究論文が、米栄養士会誌に2021年2月18日付で掲載されました。

 この研究では、米国の国民健康栄養調査に登録されている3万5084人(平均43・5歳)が解析対象となりました。研究参加者に対してアンケート調査を行い、自宅以外で調理された食事の摂取頻度と死亡リスクの関連性が検討されています。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、性別、社会経済的地位、肥満の度合いなどの因子について、統計的に補正を行い解析しています。

 中央値で7・8年にわたる追跡調査の結果、自宅以外で調理された食事をほとんど食べない(外食が週に1食未満)人と比べて、1日に2食以上の人では、死亡リスクが49%、統計的にも有意に増加しました。また、統計的に有意な差を認めないものの、1日に2食以上の人では、心臓病による死亡が18%、がんによる死亡が67%高い傾向にありました。

 自宅以外で調理された食事を1日に2食以上も食べなければならない人は、家で料理をすることができない生活環境、あるいは身体状況にあり、もともと健康リスクが高い集団だったのかもしれません。したがって、この結果から外食することが直接的に死亡リスクを増加させていると結論することは難しいでしょう。ただ、この研究では1日に1食程度なら、毎日外食しても健康に悪い影響が出るということも示されていません。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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