時間栄養学と旬の食材

脳を覚醒させ腸の働きを高めるタケノコは朝食にピッタリ

今が旬
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 シャキシャキとした食感と春の風味を感じられるタケノコには糖質・脂質などの栄養素がほとんど含まれていません。「タケノコには栄養がない」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ところが近年、タケノコの中に含まれる栄養素が私たちにとって必要であることがわかってきました。

 まずタケノコにはタンパク質のもととなるアミノ酸の一種であるチロシンが豊富です。脳を覚醒させ、集中力や判断力を高めるなどの興奮作用があるノルアドレナリン、意欲的にさせてくれるドーパミンなどを分泌させる働きがあり、感情や神経機能の調節に役立ちます。朝食べることで、集中力を高めることができそうです。茹でた後のタケノコにつく白い物質はチロシンが結晶化したものなので、取らずに食べましょう。

 体内のナトリウムを体の外に出してくれるカリウムもタケノコには多く含まれています。100グラム当たり520ミリグラム含まれていて、カリウムが多いとされるジャガイモ(410ミリグラム)よりも多いことがわかります。

 食物繊維の豊かさも見逃せません。100グラム当たり2.8グラム含まれるうち、便通をよくする働きのある不溶性食物繊維が2.5グラム含まれます。寝ている時には腸がよく働くので、夕食に食べて整腸作用をアップさせることができそうです。

 そのほかにも、抗酸化物質のひとつであり、体内では活性酸素を取り除く働きなどがあるポリフェノールが多く含まれます。小松菜やピーマンなどの緑黄色野菜と同程度のポリフェノールを含んでいるほどです。

 一般的な茹でタケノコは、若干水に溶けやすいビタミンが流出し、カリウムが100グラム当たり470ミリグラムと少なくなる以外は、あまり栄養価は変化しません。逆に、食物繊維は3.3グラムに増えます。水煮缶詰に加工されると、特にカリウムが77ミリグラムまで減ってしまいます。生がおすすめです。

 タケノコを塩蔵した、いわゆるメンマにすると全体的に栄養素が減ってしまうのですが、食物繊維は2.8グラムから3.5グラムまで増えるというメリットもあります。

 いつ食べるか、どのような加工を施したものを食べるか。ご自身の目的に応じて召し上がってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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