新型コロナワクチンの疑問に答える

ワクチンの接種は「N501Y」型の感染防止にどれぐらいの効果があるのか

新型コロナウイルスの変異株の配列を分析する研究所員(ドイツ・インゲルハイム)/(C)ロイター

 ファイザーやモデルナのワクチンは「mRNA」ワクチン、アストラゼネカは「ウイルスベクターワクチン」と、それぞれ作製方法が異なるため、効果や副反応にも違いが出るのだ。

【Q】mRNAワクチンが変異株にも高い有効性を示すのはなぜか

【A】「mRNAワクチンは免疫原性(抗原が体内で免疫反応を引き起こすこと)が強く、ウイルス増殖の阻止をする働きを持つタンパク質(インターフェロンなど)を活性化する性質を持ちます。また、ウイルスの遺伝子情報から作られる抗体タンパクを体内で人工的に大量に作るワクチンなので、変異したウイルスのゲノム配列情報さえわかれば、どの変異にもすぐに対応が可能です」

 一方のウイルスベクターワクチンは、チンパンジー由来の風邪のアデノウイルス(体内では病気を起こさないウイルス)をベクター(運び屋)として使っている。だが、このワクチン自体が免疫によって排除されることがあるため、免疫原性はmRNAに比べると弱いとされる。

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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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