がんと向き合い生きていく

初孫ができて思い出す乳がんで亡くなった女性患者の言葉

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの流行で突然に不幸になった方がたくさんおられることを思うと、初めて爺になった私が孫に会えずにいて、写真や動画でガマンしているのは当然の話です。それでも、孫に触れてみたい、風呂に入れてみたい。そう思うのです。

 癌研究会付属病院(現がん研有明病院)の院長だった西満正氏は、小児科病棟を回診して「幼子の匂いに勝るものなし」と詠みました。血がつながっているとか、DNAがつながるとは、天からいただいた“心の魔術”なのでしょうか。閉塞感の中でも、目に見えない元気をくれるのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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