医者も知らない医学の新常識

推奨されている2週間以内の使用でもステロイドは危ない?

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 ステロイドという薬があります。これは正確にいうと糖質コルチコイドといって、体の副腎という場所から分泌されるストレスホルモンです。

 このステロイドには炎症を抑える強い作用があるので、炎症を起こす体の病気に対して広く使用されています。湿疹の薬であるステロイド剤も、湿疹が皮膚の炎症なので効果があるのです。

 ステロイドは非常に高い効果のある薬ですが、副作用(有害事象)が多い薬でもあります。胃潰瘍や肺炎、糖尿病、骨粗しょう症などはいずれもステロイドの使用で起こる可能性のある病気です。こうした副作用は、主に数カ月以上というような長期の使用で、その危険性が高まると考えられています。そのため急性の病気に対するステロイドの使用は、なるべく2週間以内にとどめることが推奨されているのです。それでは、2週間以内のステロイドの使用には問題はないのでしょうか? 今年の米国医師会の小児科専門誌に、14日以内のステロイドの使用が、その後の病気の危険性と、どのくらい関連しているのかを調査した、台湾での研究結果が報告されています。

 それによると、短期間のステロイドの使用でも、その後の肺炎や胃潰瘍などの危険性は高くなっていました。ステロイドはとてもよく効く薬ですが、短期間の使用でも副作用は起こることがあるので、確実に必要な時に限って、慎重に使うことが大切なのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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