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病気の要因に…世界の健康をむしばむ「環境的人種差別」とは

気候変動に関するオンライン首脳会合で演説するバイデン米大統領(C)共同通信社

 また今回のようなパンデミックで最も大きな打撃を受けているのも、こうした既往症を持つ人が多い黒人やヒスパニックです。コロナの死亡率は、黒人が白人の1.9倍、ヒスパニックは2.3倍に上っています。

 環境的人種差別はアメリカだけの問題ではありません。マレーシアの巨大なゴミ集積場の半分は、アメリカやヨーロッパ、日本などの豊かな諸外国から運ばれたものです。インドネシア、タイ、ベトナム、インドなどの「グローバル・サウス」と呼ばれる発展途上国でも、同様の問題で多くのピープル・オブ・カラーが健康リスクを抱えて生活しています。

 環境的人種差別は今後、国連の「SDGs」(持続可能な開発目標)とも関わり、世界の差別・人権問題としてクローズアップされてくると考えられます。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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